真船 由佳(まぶね ゆか)

自己紹介
手を動かして何か描いたり形にすることは小さい頃から好きでした。それに加え、人に褒めてもらえること、喜んでもらえることは子ども心にとても満たされた思い出があります。那須の林の中で育ち、自然が身近にある環境で30歳まで過ごしました。
高校時代は植物や自然環境に関係する職に就きたいとぼんやり考え、「美術で食べていけると思っていませんから」と大口を叩いていた理系人間。なぜか教職だけは絶対に選ばないと決めていたのに、美術教育を学ぶ大学へ進み、そこで漆と出会いました。
漆芸作家でもある先生に学ぶ中で、漆ならではの自由な表現と美しい質感に魅了され、「本物に出会った」と感動したことを覚えています。一方で、漆によるひどいかぶれを経験し、一度は漆から離れることに。
その後、地元で働きながらも「やっぱり漆がやりたい」という思いは消えることはなく。地域のマルシェやイベントで、手に職を持ち、人を笑顔にするきらきらと輝く人々と出会い、自分もこんなふうに生きていきたいと強く思うようになりました。
「漆をするなら、日々使う器を作りたい。」そう決意し、石川県の研修所で漆器づくりを一から学びました。石川での充実した日々は10年を迎え、自ら制作した器を手に取っていただける今があることを感慨深く思います。
現在は、木工ろくろで木地づくりから行い、木目がいきる拭き漆という技法の奥深さに魅了され、自然染料や色漆を用いて器を制作しています。心地よい形と美しい曲線を求めながら、人と自然の架け橋として、日々の暮らしに寄り添うものを。
あなたの日々が、少しでも豊かになりますように。
略歴
| 1986年 | 栃木県那須町生まれ |
| 2009年 | 宇都宮大学教育学部美術教育専攻 卒業 |
| 2011年 | 那須町教育活動指導助手として小学校に勤務 |
| 2016年 | 石川県に移住 |
| 2019年 | 伝統工芸士 佐竹一夫氏に師事 |
| 2021年 | 石川県挽物轆轤技術研修所専門コース 卒業 第61回石川の伝統工芸展 入選 |
| 2023年 | 木地工房での修行を経て独立 |
| 現在 | 石川県加賀市山中温泉にて制作 |
2026年10月
店主からのご紹介
真船さんに初めてお会いしたのは2025年4月、第1回足利クラフトフェアでした。テントに入るやいなや一番奥に置いてあった器が目に飛び込んできて、釘付けになりました。
いつもの好奇心が爆発し、質問攻めが始まり、器のみならず真船さんご本人への関心も湧いてきて止まらない状態に。
営業妨害もほどほどにしなければと、3つあった中から1つを選び、話に夢中になるあまりお代を払うのを忘れて持ち帰ったのが写真の加飾挽きの器です。

その後すぐに連絡をとり、5月に山中温泉の工房を訪問させていただきました。
歴史を刻んだ工房には、玄関の"中"にツバメの巣(出入りできるように窓ガラス一部が外れている)、そこかしこに先人が残した数え切れないほどの荒挽きの器、木屑を燃やすのに使っていたストーブのある部屋とその天井裏に設けられた乾燥室、屋根裏に入るかのように階段を登った先に明るく小さな制作部屋、そして圧巻の轆轤(ろくろ)。






掘り炬燵のようになった轆轤の中に潜り込んで仕組みを教えてもらったり、多種多様な刃物の使い方を説明してもらったり、実演してもらったり。
謙虚で飾らない真船さんは、私の湧き出る質問の一つひとつに対して、私の理解を確認しながら丁寧に、そしてわからないものはわからないと答えてくれました。その話し振りには純粋さと誠実さと温かさがありました。





この地で脈々と受け継がれてきた道具、技術をこの地とともに感じることができ、至福の訪問となりました。
その4ヶ月後、津南でのクラフトフェアにお邪魔し、いくつかの新作を見せていただきました。ますます真船さんらしさが器に宿っていて、感銘を受けた私はその場で制作をお願いしました。これをこの仕上げでどうか?この形にこの雰囲気はどうか?メモを取っていただきながら相談した次第です。
その後もお会いする機会があり、写真の器を購入しました。一筆書きの加飾にも真船さんらしさが映っています。

真船さんの分身のような器たち。ぜひ日々の暮らしの中に取り入れてみてください。
2026年10月