清水 将勇(しみず まさたけ)/ Japonica(ヤポニカ)

自己紹介

 杉に草木染めすると美しいということを発見してしまったので、信念と責任をもってこの新しい工芸に取り組み続けています。

 杉材は近所の上林製材所から仕入れています。上林製材所は植樹、伐採、製材、自然乾燥など昔ながらの仕事が特徴です。僕より若いきこりがいて「清水さんにはこの木」と用意していてくれたりするのでとてもありがたく、ヤポニカにとってなくてはならない存在です。

 杉にこだわっているエピソードをひとつ。厳しい修業時代に失敗ばかりで貴重な木材を切るのも怖くなってしまったことがありました。そんな時に杉材を使う仕事を与えられ、その肌の手触りや色合いに癒されてとても救われました。それから杉を好きになってしまい今に至ります。

 今でも草木染めの色と相まって自分たちを癒してくれている杉ですが、この気持ちを少しでもみなさまとシェアできればと思っています。

 

略歴

1975年 千葉県生まれ
1999年 東京農工大学工学部卒業
2000年 木漆工芸家 辻徹氏に師事
2013年 茨城県石岡市に工房を構える
いばらきデザインセレクション2013選定 草木染の家具
2015年 いばらきデザインセレクション2015選定 杉草木染カップ
2017年 いばらきデザインセレクション2017知事選定 杉の蕎麦猪口
2018年 LEXUS匠プロジェクト2018 茨城県代表
2023年 いばらきデザインセレクション2023選定 杉のコースター
2019年
〜毎年
伊勢丹新宿店 森俊宏 清水将勇 木のうつわ二人展
2020年
〜隔年
水戸京成百貨店アートギャラリー 個展

店主からのご紹介

 清水さんと初めて会ったのは2016年の夏、場所は「ぎゃらりーマドベ」。茨城県ひたちなか市の名店「ちどり」のそばにマドベはあり、どちらも黒澤みゆきさんが営まれていました。そこで既に友だちだった森さん中塚さんとともに8人の木工家の品が一堂に集まる展示会が開かれたのですが、その展示会を主導していたのが清水さんでした。みゆきさんを囲んで談笑するつくり手たちの風景がなんとも豊かで、マドベの表の風貌から裏口に抜けるまでの空間全てに体がじーんと痺れたのを覚えています。

 清水さんの木工品は一番奥のガラス戸の横に置かれていました。杉を染めて仕上げた独特の雰囲気に見入った私は、異国のもののような、はるか昔の時代のもののような、ちょっと近寄りがたい印象を受けたのでした。

 なので、私が最初に買った清水さんの木工品はほとんど染色を感じさせない写真のプレートでした (笑)

 それから8年が過ぎ、私が店を開くにあたってどうしても取り扱いたかったのが、清水さんのつくる杉のコースターでした。

 杉という素材とその染め、仕上げに至るまで、清水さんほど一筋にこだわり続けた人を私は知りません。コースターはそのひとつの到達点だと思います。清水さんのつくる浮造りの蕎麦猪口、はつりのぐい呑み、コースターは杉の真価がもっとも発揮されていると思います。そして、おそらくはこれらも通過点なのでしょう。

 日本だけに自生する杉の個性と魅力をぜひ味わってください。


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